スウェーデンは、森が多く、湖が多く、そして岩も多い。
ときどき、この国は、一枚の巨大な岩の上にできた土地なのではないかと思う。
岩肌のあちこちにできたくぼみは、やがて無数の湖となる。
風が少しずつ土を運び、岩の割れ目に積もると、草や木々はそこへ静かに根を下ろしていった。
長い年月を経て、岩は森をまとい、その森のあいだには大小さまざまな湖が静かに点在するようになった。
午後、市街地の南にある自然保護区を訪れた。
入口を入ると、せせらぎの音が耳に届く。
深い木陰の下には、いくつかのテントが草地の奥に静かに点在していた。
小道を歩いて湖畔へ向かい、大きな岩に腰を下ろす。
子どもたちは水着に着替え、湖へ飛び込んで楽しそうにはしゃいでいる。
犬は岸辺を離れず、ときおり心配そうに声を上げていた。
湖の向こうでは、何組かの家族がテントを張り、焚き火を囲んでいる。
やがて、ギターの音色が湖面を渡って、こちらまでゆっくりと届いてきた。
夕方の涼しさが少しずつ増し、私たちは森の奥へ歩き始める。
歩く道のほとんどは、むき出しの岩盤だった。
苔、朽ち木、そしてあちこちに横たわる岩。
それらは果てしなく続く森の中で、ごく自然にそこにあり続けていた。
気がつくと、もう一つの湖へたどり着いていた。
夕陽は梢の間から湖面へ差し込み、半分を黄金色に照らし、もう半分を静かな影で包んでいた。
さっきまで子どもたちを心配していた犬は、今度は自分から浅瀬へ飛び込み、夢中になって泳いでいる。
何度呼んでも、なかなか岸へ戻ってこなかった。
帰り道、夕陽はゆっくりと森の向こうへ沈んでいく。
森は静けさに包まれ、遠くの湖畔から、ときおりキャンプを楽しむ人たちの笑い声だけが風に乗って聞こえてきた。
家へ向かう車を走らせるころには、月明かりがあたりをやさしく照らしていた。
道沿いの草地では、数頭の鹿が静かに草を食んでいる。
私たちに気づくと、一度だけ顔を上げてこちらを見つめる。
そして何事もなかったように、またゆっくりと草を食べ始めた。