スウェーデンは、日に日に夏らしさを増している。
学校は夏休みに入り、キャンパスからはいつもの賑わいが消えた。
長く伸びた夕陽が、まだら模様の壁を静かに照らし、どこか少しだけ寂しさを添えている。
夜九時を過ぎて散歩に出ても、空はまだ明るい。陽射しは赤い屋根をやさしく照らし、ほのかなぬくもりを残している。
通勤時間になっても、道路を走る車はずいぶん少なくなった。
以前は混み合っていた駐車場にも、今はぽつりぽつりと数台の車が停まっているだけだ。
オフィスに入ると、いつもよりずっと広く感じる。空席が日に日に増えていく。
パソコンを開けば、多くの同僚がすでに自動返信を設定していた。
昼休みのあと、会社の近くの小道を歩いてみる。
道端では野の花がちょうど見頃を迎えていた。
青紫色のベルフラワー、淡いピンクのゼニアオイ、紫と黄色が美しいハマウツボの仲間。それに白いヒナギクや黄色いキンポウゲが、高さの異なる草むらのあちこちに咲き、まるで夏そのものを一面に広げているようだった。
その横を歩いていると、腰のあたりまで伸びた草と花々が、風に揺れて静かに波打つ。まるで季節そのものが、ゆっくりと呼吸しているようだった。